千葉・鴨川を拠点に無農薬でエディブルラワーとハーブの栽培、里山から採取した自生植物を加工して販売を行う「苗目」。2014年からエディブルラワーとハーブの栽培を始めた代表の井上隆太郎さんと、千葉県大多喜町で「mitosaya薬草園蒸留所」を営む蒸留家の江口宏志さんが収穫量や作業効率を重視する従来の畑ではなく、自然で、見て楽しい、そしておいしい。そんな生産の場を作ろうと、2018年に設立しました。
苗目の「野原のような畑を作る」という植物本来の個性を大切にし、限りなく自然に近い環境で作る無農薬・無化学肥料で栽培する姿勢にKINTOが共感したことがコラボレーションのはじまりです。今回は、苗目のハーブへのこだわり、そして苗目の活動への想いをお伺いしました。
苗目のある千葉・鴨川は、植物を育てるのに適している温暖な気候で、当時取引の中心にあった東京のレストランやバーへも鮮度のいいものが届けられると選んだ場所。200坪から始めて、今では、8つの温室とその近くの土地を合わせて2400坪、里山1500坪を有します。
井上さんが目指したのは「野原のような畑」。収穫量や作業効率を重視した単一種類を並べる畑とは違い、1つのハウスに何種類ものハーブやエディブルフラワーが育つ様は、野原を感じる自然に近い風景です。育てるハーブは季節ごとに変化しながらも、常時100種類を超えます。
井上さんが大切にしているForage(採取)は、スコットランドのアイラ島で出会ったwild food forager(野生食物採取人)のMARK WILLIAMSさんとの貴重な体験からインスピレーションを受けています。そこでは森を歩きながら、植物の葉・花・根などから食べられる部位を味見をしながら探していきます。実際に、井上さんのハウスを歩きながら様々なハーブを口にする度に、それぞれに豊かさと驚きのある味と香りは、私たちの五感を刺激してくれました。
複合農業が苗目の最終目標と語る井上さん。「無農薬で栽培をするためには全部が必要なことなんです。ニワトリが土を耕してくれるとか、養蜂やっていると受粉してくれて実がよくなるとか。在来の植物や動物が育つために必要な環境を整えるために、全部をまとめてやりたいと思っています。」来年には、小麦が育ち、ぶどう畑もできるそうで、ここの景観もさらに変わっていくとのこと。ハーブ・エディブルフラワーに、野菜、果樹、穀物、動物が循環する環境を目指す井上さんのこれからは、まだまだやりたいことで溢れています。ハーブ・エディブルフラワーの農園からはじまった苗目は、自然が芽吹き育っていくという意味を込めたその名のように、どんな変化が起こるのか愉しみです。