こんな大事な問いかけを、わずかに残された時間のなかで振り返って嘆いてもあとの祭り。そう、だから今から人生を“愛する”準備をしませんか?仕事と家事の隙間にある、ほんの密かな楽しみのことを連想してみては如何でしょうか。晴れた早い時間の午後、単行本を片手に何時間でもお風呂で過ごし、読書を嗜む。料理を作りながら今夜の魚介類のソテーには、どんなワインが合うだろう?味見がてらにコルクを抜き、切子ガラスのグラスに注ぐ。お酒を嗜む。季節ごとに気分を変えるために、1枚、とっておきの古いレコードを買い足していく。音楽を嗜む。愛してやまない瞬間を持っていることを、嗜むと言うのでしょう。没頭するわけでもなく、さりげなく楽しんでいる瞬間。この時間の積み重ねが、きっとあなたに自分を好きになることを許していくでしょう。私たち日本人は何故か、ウキウキ密かな楽しみに打ち込む自分を、なかなか許すのが苦手なようです。あなたは何を、「嗜み」ますか?
[ILLUSTRATOR PROFILE]
濱愛子 (イラストレーター/グラフィックデザイナー)
紙版画を用いて、情感と力強さのある作品づくりを目指し、本、雑誌、広告に取り組んでいる。最近の仕事では、詩画集「今夜 凶暴だから わたし」(詩/高橋久美子、ちいさいミシマ社刊)、また、日本美術や、茶道具の世界で使われてきた形について紐解く「かたちのなまえ」(野瀬奈津子著、 玄光社刊)。それぞれ一冊を通して絵を担当している。HBギャラリーファイルコンペ大賞/永井裕明賞、東京イラストレーターズ ソサエティTIS公募入選(灘本唯人氏 「わたしの一枚」)、ADC入選、他。TIS会員。
https://aikohama.com/
