素材の特性を活かした琺瑯製の食器 FORIS vol.2

アウトドアでもこだわりを持ち、食事を愉しむ人へ向けた琺瑯製の食器FORIS。プロダクトデザインを手掛けた倉本仁さんにデザインのインスピレーションやプロセスについて伺いました。
- インスピレーションの源となったシーンやイメージしたものはありますか?
これまでに自分が体験したキャンプやアウトドアでの食事シーン、洗浄時、乾燥時、搬送時などの全ての条件や実践的要素がアイデアの源になりました。また、そのような豊かな時間を過ごすとき、その傍にあってほしい雰囲気を上手く形に表現したいと考えていたように思います。
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そこにある環境や限られた道具をうまく使いながら楽しく時間を過ごすことがキャンプの醍醐味です。落ちている大きな木の枝をタープの支柱にしたり、石で即席の調理台を作ってみたりすることも日々の生活から離れ、自然の中に自身を溶け込ます行為のひとつとするならば、食器や調理道具も使い手のアイデアの受け皿になってほしいと考えました。 また、キャンプ場やアウトドアのシーンだけではなく一般的な家庭で使う食器としても、そういった工夫の受け皿となるような創造的で実践的、そしておおらかな空気を纏った存在であってほしいなと思います。
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- 素材や技術の特性を受けて、どのようなことを意識されましたか?
琺瑯は金属の基材の上にガラスの層を定着させる製法ですが、FORISが採用している琺瑯は一般的なものと少し違い、その基材にステンレスを使用しています。端部の処理もガラス層を削り出してステンレスのエッジが露出するような手法を用いてよりすっきりとした印象に。琺瑯は古くから食器・道具の製法として確立されていますが、今回そのゆらゆらとした魅力的なガラス質の表情はそのままに、細部の工夫で新たな価値を生み出すことができたのではないかと思います。
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- デザインをする上で特に苦労した点はありますか?
プレートやボウルに設けられた調理するためのハンドルを差し込む孔の形状は、特にデザインの検討を要するものでした。調理器具にもなるという機能的な特徴を明快に表したい一方で、器としてテーブルに並べられた際は機能的な主張が強すぎず、穏やかで優しい形状が好ましいと考えました。この相反する二つの要件を溶かし込んだ突起部が今回のデザインのキーポイントになっています。
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- ユーザーにどのように商品を愉しんでもらいたいですか?
食器としてだけでなく調理道具にもなり、プレートをボウルの蓋にできたり、工夫次第で様々な使い方ができる便利な器です。FORISシリーズに共通する「用の美」を楽しんでもらいたいです。
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[DESIGNER PROFILE]
倉本 仁
2008年JIN KURAMOTO STUDIO設立。プロジェクトのコンセプトやストーリーを明快な造形表現で伝えるアプローチで家具、家電製品、アイウェアから自動車まで多彩なジャンルのデザイン開発に携わる。一般社団法人 JAPAN CREATIVE 理事、2023年よりグッドデザイン賞 副審査委員長に就任。


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