一つ一つの草花と触れあい、感性をひらく体験を。
ひんやりとした秋の空気を感じながらKINTOスタッフが訪れたのは、装花による独創的な空間づくりが魅力のzero two THREE のアトリエ。今回は季節の花々を生けるワークショップを、KINTOのTREを使って開催いただきました。フラワーデザイナーの梶谷奈允子さんのおおらかで豊かな感性に触れて、暮らしに植物をとりいれるアイデアを広げてみたいと思います。
空間に流れる変化する美しさとのびやかなゆとり
アトリエがある東京・深沢は、駅から少し離れた閑静な住宅が並ぶエリア。お花を仕入れる市場へも近いこのエリアで拠点を探していたところ、お庭付きのこの場所に出会ったそう。草木染めの暖簾がたなびく入り口を通ると、そこには独創的な空間が広がっていました。
掘りごたつのある純和風の住居をリノベーションしたのは、ご主人で建築家の圭亮さん。コンクリート剥き出しの床や壁、使い込まれて経年変化した家具や小物のある空間に、植物にエイジングを施す梶谷さんの作品が置かれ、’変化する美しさ’を随所に感じられます。
梶谷さんによるTREのフラワーベースを使ったアレンジでは、花々がのびのびと生けられ、草花が青々と香り、空間にゆとりと落ち着きが生まれていました。植物がみせてくれる豊かな表情が、私たちが生ける上でのインスピレーションにつながります。
うつわ選びと花あわせ
磨りガラスのようにやわらかく光を透過し、複数のサイズやカラーを組み合わせてディスプレイが愉しめる TRE。今回は、2つのフラワーベースを組み合わせて生けるデザインにチャレンジ。TREは、梶谷さんにアドバイザーとして携わっていただき、生ける人にとっても植物にとっても心地良いポイントを伺ってできたシリーズです。「TREは三角形で花材が角にとまるので生けやすいし、口の部分が丸くカーブしているから、茎がやさしくあたるので長持ちしやすい」と梶谷さん。アレンジする上でのアドバイスとTREのポイントを伺いながら生けていきます。
迷ったら草花の育つ背景を想像してみる
梶谷さんが生ける時に意識しているのは、植物の動きをみながら、この植物がどう育ってきたのかをイメージすること。「迷ったら植物がどう育ってきたのか想像してみて」という梶谷さんの言葉から、露地で風に揺れ、陽を浴びて豊かに育つ花々がふと浮かびました。
「真っ直ぐと上を向く植物もあれば、ゆるやかなカーブをつくる植物もあります。植物そのものを見つめることはもちろん、過ごしてきた時間や環境、植物を置く空間にも目をむけると自分なりのアイデアがみつかりますよ。」
梶谷さんの言葉は、私たちの視線を、花の美しさの奥にあるストーリーへと導いてくれました。
その花が過ごしてきた時間を浮かべて、そのイメージごと、そっと生ける。
花と触れ合う体験を通して、植物をより身近に感じられるひと時となりました。
zero two Three 梶谷奈允子
ダイナミックさと繊細さを併せ持ち、花の奥深い可能性を引き出す、独創的なフラワーデザインが特徴。ハイブランドやラグジュアリーホテルの装花、白金台のフラワーショップ「Flower shop BIOTOP by zero two THREE」を手がける。著書に『美しい押し花図譜』『花束作りの花合わせレッスン』(誠文堂新光社)。
Photo: Kengo Kawatsura