ライフスタイルの変化と共にアップデートした食器 - NEST -

2006年にパーティーウェアとして発売したNESTをキッズ・ベビー向けにリデザインすることになった背景を、KINTOの企画担当者とプロダクトデザインを手掛けた柴田文江さんに伺いました。

＜インタビュー：KINTO企画担当者＞
NESTのリニューアルに至る開発背景について訊きました
NESTは、パーティー＝きちんとしたテーブルセッティング、という概念から離れ、普段の延長でカジュアルに使えるホームパーティーのための食器として2006年に発売しました。小さなオーブンパンから大皿まで、豊富なラインナップで、大きさ、形状の異なる13アイテムを使いまわすことで、パーティーメニューに広く対応できるシリーズでした。

私自身、初期のNESTのアイテムを今でも日常使いしています。持ち手のあるボウルにソースやケチャップを入れたり、オーバルプレートを取り分け用にしたり、使い始めてから20年近くになりますが、汚れも落としやすいので新品のような状態が続いています。数年前に子供が生まれて離乳食を始めたときには、僅か一口分の少量を盛りつけ、食べる量が徐々に増えるにつれて組み合わせやサイズを変えて使っています。持ち手があるので食べさせやすかったり、子供が成長して自身で手を添えて食べるようになったり、高温で焼き締めた磁器は丈夫で割れにくいので、子供に持たせても安心でき、とても使いやすく重宝しています。実際に使った経験を活かして、子供がよく食べるメニューに合わせてボウルやプレートをリデザインするかたちでプランを進めていきました。リニューアル版のNESTでは、うつわだけでなくカトラリーも追加しています。柄は柔らかいシリコンで、口に触れる部分に琺瑯加工を施して滑らかに仕上げ、金属の冷たい印象をおさえています。ベビーから大人になっても次の世代まで、ぜひ永く使っていただきたいです。

＜インタビュー：プロダクトデザイナー 柴田文江さん＞
この企画がスタートする際に、感じたことやイメージされたことはありますか？
オリジナルのNESTをデザインする際に、家族や友人と食を楽しむ場をイメージした食器として、おおらかで気軽に使えるかたちを考えていました。今回それをキッズ向けに再構成するというお話はコンセプト的にもカタチの印象としても非常にマッチするだろうと感じました。なんでも新しく作るだけではなく、それまでの経験から新しい商品を再編集する今回のような開発は、モノや企画自体の深度が深まるので良い取り組みだと思います。

- デザインする上で考慮したこと、苦労した点はありますか？
オリジナルが持つのんびりとしたかたちの要素を崩さずに、肉厚などを調整して小さなお子さんでもあまり重くならないように工夫しています。シンプルなデザインですが、子供らしい愛らしさが感じられるよう全体形状や細部の断面形状などにこだわりました。それぞれの食器のサイズについては、実際に子育て中のママでもある企画担当者さんの意見をいただけたので、その知見に基づき3Dモデルを何度も作成して検証をしました。

- ユーザーの方に、どのように商品を愉しんでもらいたいですか？
子供用の食器ではありますがシンプルなかたちと質感で永くお使いいただけますし、いずれご家族のどなたが使っても良い食器になったら嬉しく思います。みなさんの暮らしの中で、このNESTから色々なアイデアを展開していただけたら幸いです。